はじめて感じた感動は強烈なほど今も覚えているものです。それは人にとっては大したことじゃなかったりするもので。
私が初めて触れたコンピューターは当時から憧れだったApple社のColor Classic IIでした。アップルらしい一体型のデスクトップ機。当時はまだ白黒のパソコンも多い時代に、中学に上がったら、という約束を果たした父親に買い与えられたものでした。OSはMacOS7.6、日本語入力は漢字Talk。このあと、Apple社はLCだのQuadraだの、クリエイティビティーの低い灰色の箱に入ったパソコンを乱発し迷走したわけですが・・・。
キラキラ光るスクリーンに興味を奪われるのは子供から大人までそして昔から今になるまで、そのスクリーンの大きさや重さ、写っているものは違えど共通のあこがれのような気がします。幼稚園児とか一瞬でツムツム中毒だし。私がその頃見ていたスクリーンはソニー製の10インチトリニトロンディスプレイでしたが、まだインターネットは普及するずっと前のこと。シムシティーをフロッピーディスクからインストールし、遊びあきるとあまりやることもなくなりました。その頃の写真:
後ろにチャゲアンドアスカのポスターがあるのは突っ込まれる前に自己申告します。
シムシティーに加え、買い与えられたThink CというCコンパイラがありました。周りにプログラミングをしている人などおらず、買い与えた父はハードウェアのエンジニアで、「これからはソフトウェアの時代が来る」ということだけを盲信していた(それ自体が正しかったことは歴史が証明したのですが)ため、結局何もインスピレーションを受けることはありませんでした。プログラミングをすることで何ができるのか全くわからず、
printf “Hello World”;
とか書いても全く感動なく、即飽きました。代わりに、マック関連の雑誌を買いあさり、入っていたフリーソフト(なんて懐かしい響き)を物色していた記憶が有ります。特にパソコンを使って何をやるということもないけれど、とにかくパソコンが好きで、もっぱらパソコンのカスタマイズです。メニューバーにボールが動き回るプログラムとか、起動画面に謎の絵を表示させるプログラムとか誰が書いたのかもわからないけど、結構やばいOSレイヤーをいじくる謎のフリーソフトを入れて遊んでいると、10個位入れたところで爆弾のマークのついたダイアログボックスが現れるのが常。
今もたまにシステムがおかしくなってOSXの画面が真っ黒になることがあるけど、そういう状態です。多くの場合はリスタートすると直るのですが、5回に1回くらいは再起不能に陥り、そのたびにハードディスクをフォーマットし、フロッピーディスクからOSのインストールをやり直すということを繰り返していました。フロッピーディスクといえば、当時は2HDと、2DDという2つの規格があって、2HDでも1.4MBとかの容量でした。ハードディスクは30MBだったかな。メモリーは4MB。
その当時雑誌に載っていた表計算ソフト(エクセルのパチもんみたいなやつ)のグラフ作成のスクリーンショットを見た時の感動は強烈でした。特に分析するデータもなく、そもそもデータとは何なのかもよくわかっていなかったわけですが、データを可視化するという技術にわけもないあこがれを感じたのを今でも覚えています。スゲーーーーーって。
今となってはエクセルなんてあまりにも当たり前ですが、今考えてみてもエクセルは革命的だったなと思います。データを直感的に操作できるインターフェースに格納し、簡単な操作で可視化できる。データがどんなに糞でも、ゴネゴネやっているうちに何やらすごい感じの物ができる。誰に見せても理解してもらえないけれど、何やらすごいということが伝わる。
Color Classic II が EC2 になり、ExcelはSQLとTableauになり、C言語はPythonになり、データはKBからTBになっても、やってることは昔も今も同じ。数の中に隠れてるかもしれない、まだ誰も知らない秘密を見つけ出すことです。
そしてピカピカのApple iPhoneのためにプログラムを作って、それがベストアプリ受賞したりするのって、アイス屋さんになって幼稚園からの夢をかなえるみたいな素朴なDream come trueですが、子供の頃からの夢をかなえるのって幸せですね。これからはもっともっと先を目指せるから。