こんにちはシバタアキラです。自分が趣味として愛していることと、仕事が一緒になることの良し悪しには諸説あると思いますが、私は単純に仕事と趣味が重なるというのは素晴らしいことだと思っています。多くの場合趣味はお金にならないから仕事とは結びつかない、というケースも多いのですが、その分その二つが重なったときの喜びもありますよね。
私の場合は無類の山好きで、見るのも登るのも、ただ山の近くにいるも大好きです。そんなわけで以前からYAMAPはずっと愛用していたし、以前から何かデータx山でお手伝いできることはないかな?なんて思っていたんですが、この度ご縁あってYAMAPのデータAIアドバイザーをさせて頂くことになりました。フルタイムではなく極々パートタイムな参加ではありますが、YAMAPチームに貢献していきたいと思います!
YAMAPってほんとにすごいサービスで、最初は自分にとっては山歩きのときに見る地図をスマホで見るためのアプリだったんですが、他の人の山行記録から色々学べたり、山岳保険に簡単に入れたり、登山中の自分の位置を家族に知らせてくれたり、最近だとデータの活用も盛んで、目的地への到達時間の予測などもしてくれる。山登りをDxしてHackしてくれること著しい。サービス全体すごく丁寧に作られていてスンバらしいんです。
実は私はコロナと時を同じくして腰を痛めてしまい、ここ1年半ほどまともに山登りができていないんですが、目下ジムや自転車で復活の準備を進めています。一方で日本の山愛好家はどのようにコロナと向き合っているのか、ずっと気になっていました。
去年の緊急事態宣言時などは山小屋も閉まり、何かあったときに救助時の感染などの確率もあるということで、山の方々も登山者を敬遠するようなきらいもありましたが、登山というのはそもそもソーシャルディスタンスの代表のようなアクティビティーであって、個人的にはこんな時期にこそ多くの人に山を楽しんで欲しいと密かに思っていました。今年は二年ぶりに富士山も山開きし、夜には登山道沿いの山小屋の明かりが灯っているのが遠くからもよく見えます。ニュースを見ていると街の人出の情報は結構目にしますが、山の混雑具合などはあまり目にすることがないので、世の中の登山トレンドって、コロナ禍にあってどうなってるのか、今回YAMAPさんに山の人流データをお借りして見てみました。
YAMAPのアクティブユーザーさん(その月にログインしている)を母数にとったとき、実際に登山に出かけた人の割合を見ると、大きく変化していることがわかります。まずコロナの影響のなかった2019年を見てみると、春と秋に登山者が増える年の周期性が確認できます。一方で、2020年の前半は登山者の割合が大きく減少しており、4月5月6月においては前年よりも全体で約30%減っています。一方で今年に入ってからは同時期において2019年比で5%ほど登山者数は増えているようです。

上記のデータは全国の登山者数が一定であると仮定した場合に有効な分析ですが、実際にはコロナ禍になって登山を始めた、という人もいるかも知れません。2020年に入ってからYAMAPの累積ダウンロード数も100万人以上増えているので、登山者総数の増加の可能性も示唆していますが、このデータからは決定的なことは言えません。
山に人が戻ってきている傾向はすでに去年の秋には顕著に見えていたことも上記データからわかります。一方で、まだその頃には山小屋なども閉鎖しているところもあり、登山客の目的地には変化があったのかもしれません。関東近郊の山の混雑度を、一定数以上の登山客のしきい値で切って過去3年間を比較してみました。やはり人気の山は少数に偏っていて、関東だと高尾周辺、大山&丹沢周辺、金峰山&瑞牆山、筑波山、雲取山&大菩薩、箱根の金時山などが人気なのは2019年も2021年も同じみたいです。自粛の影響が顕著だった昨年は遠出が減った一方、高尾や大山&丹沢などの人気はあまり衰えなかったようです。
また、山の高さ別に登っている人の数を見てみると、2020年は特に500メートル以下の超低山に登っている人の割合が大きく増え、今年もその傾向は続いているようです。コロナ自粛に耐えられず、それでも人の集まる山は避け、自宅から近い超低山を探検に行く人が増えているようです。

例えば昨年・今年特に登山者が増えている山をいくつかあげてみると
- 稲荷山(標高400M)- 高尾山からつながっている山。大きな山に行く代わりに高尾山からつなげて稲荷山に登る人が増加
- 二上山(標高473M)- 大阪みどりの百選に選定されている、大阪と奈良にまたがる山。岩屋などの史跡が残る
- 立花山(標高367M)- 福岡の街からも見える7つほどの峰からなる山群。周辺の低山とつなげて登るルートが人気
- 草戸山(標高364M)- 東京都町田市最高峰の山。前述の稲荷山なども含む山群を縦走するルートが今年に入ってから特に人気
- 日和田山(標高305M)- 埼玉県日高市のシンボルとして親しまれている。世界で女性初のエベレスト登山に成功した田部井淳子さんがよく登っていたらしい
どれも私は聞いたことない山ばかりで、百名山とかと比べると非常に地味ですが、YAMAPでみていると活動報告が実に多いです。家でじっとしてられずに近くの超低山に登る方々が新たな山ラバーとなり、これから更に大きな山にチャレンジしてくれることを願っています。
大きな山、というと「危険じゃないの?」という声はよく聞きますが、それこそこれからYAMAPと一緒にやっていける、やっていくべきことだと思います。
- AIがより正確に山の気象(今の山の天気予報はほんと当たらない)や災害、起こりうる事故などを予測し登山者の転ばぬ先の杖となってくれたり
- 体力スキルに合わせたルート選びや持ち物リスト作成で無理のない計画を手伝ってくれたり
- 今まで登ったことのある山でも、季節や動植物などの情報から、山登りを充実させてくれたり
山登りにAIを取り入れることで、誰もがプロのガイドさんと一緒に登山できるようなエクスペリエンスを作ることをお手伝いしたいと思っています。今後これまでは活用が進んでいない山関連のデータ(事故・救助のデータ、山の災害データ、周辺交通情報など)がつながっていくことで、新たな登山の世界観が生まれてくることを楽しみにしています。